最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2002年2月
第6回目
AD/HD と3つのタイプ
AD/HD の原因について、前回ふれました。遺伝のほかに、脳内物質などが原因とも考えられています。ただ、はっきりとしたものはまだわかっていません。
さて出現率ですが、子どもたちのうちで約3%の子が AD/HD とされています。この率で考えると、四十人クラスだと、 AD/HD の子が一人いることになります。
「落ち着かない」その他の原因
6〜7年前から、学校で学ぶ子どもたちの姿が、以前と較べて大きく変わってきました。その変化の一つに、最近しばしばいわれる「学級崩壊」という現象があげられます。
学級崩壊をするクラスでは、子どもたちが落ち着かなくなります。ただ、落ち着かなくなったからといって、 AD/HD だとか、 AD/HD になったとはいえません。 この場合は、環境などに対する反応で、多分に落ち着かなくなったと思われます。
子どもが落ち着かなくなる原因には、環境的なもののほか、友達とうまくいかず気持ちが不安定になるなど心理的なものもあります。睡眠がちゃんととれないなど、生理的な理由で起こることもあります。
本当に AD/HD かどうかを見極めるのは、極端な場合をのぞけば、決して容易なことではありません。(なお、学級崩壊と AD/HD の関係については、後日ふれます)
AD/HD の3つのタイプ
多動の子ども達の姿は、実に千差万別です。ただ特徴的な行動から、幾つかのグループに分けることができます。たとえば、 1. 多動性‐衝動性優勢型、 2. 不注意型、 3. 混合型という三分類もその一つです。「多動性‐衝動性優勢型」は目立つので、わかりやすいといえます。混合型は 1. と 2. が複合しているタイプです。
不注意タイプ
この分類でわかりづらいのが「不注意型」かもしれません。このタイプは、多動性や衝動性はさほど目立ちません。なかには、おっとりし過ぎて、まわりのスピードについていけず、たびたび注意を受けてしまう子もいます。物を忘れたり、なくしたりするのが多いのも特徴です。整理整頓が苦手、約束の時間を守れないなども目立ちます。
「片づけられない女たち」(サリー・デン著/WAVE出版)という本がマスコミで取り上げられています。このタイトルに、自分のことではないかと、「どきり!」とした女性も多いようですが、この本のテーマは、この不注意型の女性です。このタイプは女の子に多いようです。
なお、子どもの頃には「不注意型」だったのが、大人になるにつれ「多動性‐衝動性」が目立ってきたという女性もいます。多動のタイプは、必ずしも不変ということではなく、変化していくこともありえるようです。