最近「子ども事情」part 2 2009年7月
第19回目 発達障害のせいにしない
発達障害だから許される?
落ち着かない、注意力が散漫、衝動的というのがいわゆるADHD(注意欠陥多動性障害)の特徴です。この「落ち着かない」という特徴から、「教室で椅子に座っていられなくてもしょうがない」と飛躍するのは間違いです。
確かに、落ち着きがなくてじっと座っているのが苦手かもしれません。しかし、全てのADHDの子どもが着席できないわけではありません。座っていられない子どもの方が、圧倒的に少ないはずです。
実際にクリニックでは、着席して知能検査などを行いますし、集団でのセラピーでは、着席が必要なときにはそれを守らせます。
注意力が散漫だから、忘れ物をしてもいいわけではありません。忘れ物をしないように指導する必要があります。
衝動性も同じで、病気だから仕方がないと考えるのは、育児や教育の放棄ともいえます。衝動性をどうコントロールできるようにするか、その方法を一緒に考えて実行する必要があります。
軽症化する発達障害
発達障害の疑いでクリニックを受診される子どもや青年が増えています。その状態像ですが、15年ほど前は脳機能の不全を実感させる子どもがいました。つまりは、本人の意思ではどうにもならないような状態でした。
ところが最近は違います。この頃は「子どもが勉強しない」、それはADHDだからではないかと大人は考えたりします。
「友だちができない、うまくいかない」子に対しては、「アスペルガー症候群」ではないかと心配します。
発達障害への理解が広がったことで、体罰や厳しい指導が減るなど効果があるのは確かです。ただ、大人に取って好ましくない子どもの姿と診断名を安易に結び付けられると、「病気のせい」になってしまいがちです。
それが時には、指導や教育の実質的な放棄に繋がりかねません。子どもの「時」は帰ってこず、大人の間違った思い込みが子どもの成長を阻害することがあります。それが一生に影響します。
大人には、安易に発達障害に原因をゆだねない、賢明な判断が求められています。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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