最近「子ども事情」part 2 2009年4月
第18回目 発達障害は増えている?
特別支援教育では、知的障害や自閉性障害のある子どもを対象に指導を行っています。その特別支援教育を受けたいという子どもが、この数年急増しています。その増え方は、全国で毎年1万人とされます。
1万人という数ですが、たとえば定員200名規模の特別支援学校であれば、50校を毎年新設する必要があります。現実に問題も起こっていて、支援学校では教室不足が深刻です。
特別支援学校の高等部を卒業し、一般企業に就職する青年は、全体の3割程度です。残りの7割弱の人たちのために、福祉施設を用意する必要があります。これも膨大な数です。
実態と理由、新たなニーズを探るために
発達障害は増えているのか、増えているとするならば、その原因は何なのか。これらを解明するために、筆者も参加しましたが、厚生労働省の助成を受け調査研究を行いました。研究班は、以下の三委員会で構成されました。
①医療面(地域医療、遺伝学、疫学など)
②教育面(特別支援教育の現状と課題など)
③ニーズ面(新たな社会的支援など)
結論的にいえば、特別支援教育を受けたい児童・生徒が増えているのは確かです。それは事実です。
しかし、本当に知的障害や自閉性障害が増えているのかといえば、疫学や遺伝学ばかりでなく、臨床医も疑問視しています。発達障害の診断概念が広がり、診断名を付けられてしまう子どもが増えただけという見方も示されました。
保護者の意識変化と育児環境の悪化
さらに、障害を受容する保護者の増加もあげられました。多くの保護者は、子どもの障害を認め、特別な指導、教育を積極的に受けたいと考えています。また貧困も含め、育児環境の悪化も、子どもの成長を阻害しているという指摘がありました。
社会・心理的要因による、「環境型の知的障害」の増加です。社会の懐が狭くなり、ちょっと変わっているだけで障害にされる風潮もあります。
関係者からは、いつまで、この増加が続くのかとの悲鳴に近い訴えも寄せられています。さらなる解明と、対応策が求められています。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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