最近「子ども事情」part 2 2009年1月
第17回目 教育と社会参加
適切な教育の場
臨床の場にいると、社会の矛盾を強く感じるときがあります。彼は今年、中学3年生になりました。彼には軽度の知的障害があります。小学校では通常学級に通いながら、少人数指導のクラスにも通っていました。
小学6年生の頃には、学年の勉強はほとんどわからなくなりました。それで、中学は特別支援学級に進むよう親に助言しました。ところが実際には、私立の中高一貫校に進学しました。学校見学に行ったあとに、本人が強く希望したからとの話でした。
進学した中学は、発達障害を持つ子にも門戸を開いている学校です。彼は中学生になるとますます授業についていくのは難しくなりました。救済措置で、なんとか3年生になれました。
責任が持てないはずの「教育」
親子を相手に、中学卒業後は障害を持つ子のための学校に進むよう助言しました。ところが、中学校系列の高校に推薦入学が決まったといいます。彼に対して、高校側は責任を持った教育ができるとは思っていないでしょう。しかし入学が許可されました。
この高校は有名私大も含め、大学への推薦枠を持っています。その枠数は高校の定員よりも多く、大学を選ばなければ進学できるといいます。
大切なのは社会参加
ある境界線知能の青年は、高校卒業後に短大に進みました。卒業時に就職できなかったからです。短大卒業時にも就職できず、短大系列の4年制大学に編入しました。結局4年生の段階でも就職先がなく、大学院への進学を検討しています。
この青年の親には、職業訓練校の利用を話しています。就職の可能性は高まり、社会参加ができるからです。
教育制度の見直しが必要
不適切な高等教育を長い間受けたために、社会参加が困難になる青年がいます。卒業後には引きこもる可能性さえあります。責任を持った教育ができないことを知っていながら、受け入れる学校があるからです。
家族が抱く進学幻想が一因ですが、学校が多すぎることも影響しています。家庭悲劇を生み出さないような、教育制度の見直しが必要と感じます。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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