最近「子ども事情」part 2 2008年4月
第14回目 子どもの成長
先日、子どもが30歳前後というお母さんたちと話しをしました。子どもには、知的障害や自閉性障害があります。
昔話に花が咲きましたが、子育てで鮮明に記憶が残っている時期は、乳幼児期から学童低学年あたりのようでした。
実際に、幼稚園や保育園などの先生の名前を、まだ覚えています。お医者さんや心理などの先生のことばも、はっきりと記憶に残っていました。
はじめの頃のことは、何十年経っても覚えているほどに、心に強く刻まれてしまいます。
ことばによっては、育児に向かう親に勇気を与えるでしょう。しかし反対に、育てる気持ちを萎えさせるような、専門家のことばもあったようです。
話すことばには、細心の注意を払わないといけないな、と改めて感じました。
自閉症の子どもの多くは、運動会が嫌なようです。いつもと違うことが苦手だからです。なかには感覚が過敏で、とくに大きな音におびえる子もいます。
運動会ではピストルなど、大きな音が使われます。それで運動会が嫌いになります。ところが、そういう子たちも、小学校3〜4年生あたりから、運動会に慣れてくるようです。
あるお母さんは、わが子は新しいことが苦手と思っていたけれども、大人になった今では、パーティーなどに積極的に参加するようになったといいます。「見通しが持てるように配慮するのは大切ですが、やはり慣れるまでに時間がかかる子と思った方がいいですね。慣れるまで経験を積ませる必要があります」と話されました。
最近では、林間学校などの学校行事について、子どもが行きたくなければ行かなくていい、という保護者がいます。体育のプール指導は、嫌なら受けなくても仕方がないとの意見も聞きます。子どもに必要であっても、本人が嫌ならばしなくていいとの考えです。
先の見通しも含め、理解力などさまざまな能力に問題をもつ自閉症の子どもです。そういう子でさえ、嫌なことでも体験のなかで慣れ、逆に好きになったりします。
大人の狭い見方で、子どもの成長する機会を奪ってはいけないと、何十年も難しい子育てをしてきたお母さんたちの話を聞きながら思いました。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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