最近「子ども事情」part 2 2007年10月
第12回目 さまざまな姿を見せる子どもの発達
身近な人に赤ちゃんが生まれると、見せてもらいに行くことにしています。
生まれて数時間、数日という新生児の姿を見ていると不思議な気がします。何もできない子が、1年ちょっとすれば、話せ、歩けるようになるのですから。発達の精巧さ、絶妙さに驚きます。
ただこのような一般的な発達の姿は、「大半の子どもでは」という限定が付きます。実際に使われている発達や知能検査の項目は、同じ月齢、年齢の子たちのうち、6割程度に観察されたり、できる事柄が採用されています。
同じ月齢・年齢で、子どもができる割合を「通過率」といいます。
検査では、おおむね「6割通過率」で、基準の月齢や年齢が決められます。残りの4割の中に、遅れてできる子とともに障害のためにできない子が含まれます。
赤ちゃんの中には、寝返りや「はいはい」が遅れる子がいます。初期の運動が順調に進まず、歩くのも遅くなります。こういった子の中には、運動に障害のある子や、知的な発達につまずきを持つ子がいます。
ただ、そういう子ばかりではなく、「良性の運動発達遅滞」の子もいます。その原因は、筋肉が柔らかい「良性の筋緊張低下」だったりします。
良性の子は、時期は遅れても歩けるようになり、その後は一般的な運動発達を遂げるだろうとされます。断言できないのは、良性の子は「保健所や病院に来なくなる」ので、その発達の姿がよくわかっていないからです。
話はかわりますが、「七人の侍」で有名な映画監督の黒沢明さんは、9歳くらいまで泣き虫で、他の子と遊べなかったそうです。それが成長して、多くの人たちに支持される世界的な監督になりました。明少年は、今ならばひょっとして、AD/HDやアスペルガー症候群という発達障害名が付いたかもしれません。
発達障害は、同一月齢、年齢の子たちとの差が問題になります。ただその基準値は6割の子の姿です。子どもの発達はわかっていないことが多く、できない=発達障害と安易に考えるのは間違いです。明少年をはじめ、子ども時代に問題を抱えたものの、大人になってから大いに活躍する人たちが、それを教えてくれています。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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