最近「子ども事情」part 2 2007年5月
第10回目 変化する子と祖母の目
「障害」のことばに驚いたおばあちゃん
先日、あるおばあちゃんからお孫さんのことで相談がありました。お孫さんは4歳、市の発達支援センターで「広汎性発達障害」と診断されたそうです。この広汎性発達障害の診断名ですが、自閉の度合いが強くない子に出ます。
おばあちゃんは、他にもいる孫より「奥手な子かな」と思っていたそうです。つまり、さほど心配はしていなかったわけです。幼稚園の先生から、少々落ち着かない、ことばが少し遅いなどでセンターをすすめられ、そこで「広汎性発達障害」の診断名が告げられました。
まず「障害」ということばに驚いたといいます。確かに「障害」と聞くと、「変わらない、よくならない」という印象があります。
発達障害よりは「発達の様子」が適切
発達障害は他の障害と違い、発達期の子どもに現れます。子どもは大人と違い、「未熟性」を持っています。この未熟性ですが、さまざまなことを学ぶことで、成熟していくことがありえます。
実は、未熟なのか障害なのか、その見極めは専門家でも難しいことがあります。このこともあり、発達障害の専門家は、子どもの診断名が変わることに、あまり抵抗がありません。
さらにいえば、医師によっても診断名はよく違い、医師どうしの一致率は決して百%でないのは確かです。
発達障害というよりも、その時々での「発達の様子、状態」と表現した方が正確と思います。
変化する子どもと、成長を見通す祖母の目
筆者が体験した子ですが、三歳のときに自閉症と診断された、その直後から付き合ってきました。小学校入学前にことばの力が伸びだし、通常学級に入りました。十歳では落ち着きがないといわれたりしましたが、小学校のあと、通常の中学、私立の高校、専門学校へと進みました。現在は介護福祉士の資格を持ち、老人施設で働いています。
この子ですが、おばあちゃんが「わかるようになる」と断言していました。多くの子どもや人を見てきた、まさに経験からの確信と思います。
専門家も、当然ですが経験者にはかなわないことがあります。相談してきたおばあちゃんには、そういう話をしました。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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