最近「子ども事情」part 2 2005年6月
第3回目 理由がいえない
「学校は楽しいですか?」に「フツウ」。「友だちとよくあそぶ?」にも「フツウ」。
「好きな友だちはいますか?」に「ビミョウ」。「日曜日は何しますか?」にも「ビミョウ」。
質問に、「フツウ」「ビミョウ」と答える小中学生は、クリニックを受診する子だけではありません。学童保育や児童館を利用する子どもたちにも、同じ答えをする子がいます。
「フツウ」と答える子に、「フツウってどんな意味?」とさらに聞いてみます。これには答えられないか、あるいは「フツウって、フツウということ」との答えが聞かれます。もちろんこれでは意味がわかりません。
「フツウ」と話すときの子どもの表情は、楽しそうではありません。疲れたような、面倒くさそうな印象です。繰り返し聞くうちに、「フツウ」「ビミョウ」には意味がないのかもしれないと思うようになりました。意味ではなく、「気乗りしない」など、そのときの自分の気持ちを表そうとしているようです。
今も昔も「わかんない」と答える子はいます。それが「フツウ」という答え方に切り替わったのかもしれません。「フツウ」派の子に質問をしていくと、「わかんない」にたどり着くことが多く、両者は同じともいえます。
文章がなかなか作れない
「フツウ」にしろ「わかんない」にしろ、それらの子たちに共通するのは、「〜だから、○○と思う」とか、「□□と考えている。なぜならば・・・」といった文章がなかなか作れないことです。
自分の考えや意見を表現することが苦手です。当然ですが、こういう子は意見ではなく感覚的な、たとえば「好き−きらい」といった内容の会話が多くなります。
行動のあとに、「どうしてやったのか?」と理由を聞いてもちゃんと答えられない子たち。理由がわからないと、子どもへの理解が難しくなります。
実はこういう子たちが、発達障害と見なされる場合があります。確かにこういう子は、衝動的に見えたり、社会性の遅れを思わせます。とはいえ、理由を話す大切さを伝え、実際に表現練習を行っていくと、できるようになる子がいます。
幼いときからゆったりした雰囲気の中で、子どもに理由を聞く時間が大人には求められています。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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