最近「子ども事情」part 2 2004年12月
第1回目 映像と子どもへの影響
今年は天災続きです。台風で百人近くの方が亡くなったと報道された数日後に、新潟の大地震でした。東京でも大きく揺れ、気持ちが悪くなった人もいました。
阪神大震災のときには、親しくしていた福祉施設があり、震災後の救援や復興に、わずかながらですがお手伝いすることができました。
これから寒い季節を迎えます。被災された方々の心中を思うと、何ともいえない気持ちになります。
ところでこのような大事件があると、テレビは一日中被災状況などを放映します。その内容は、復興が難しい場所ばかりを取り上げる傾向があります。新聞や雑誌も同じです。悲惨な情報にさらされ続けると、人の気持ちは不安が強まるのでしょう。不眠などを訴える人が病院を訪れだします。話を聞いていると、軽いウツ状態のように思えます。
子どものなかには、毎日の戦争のニュースに反応してしまう子がいます。テレビを見ながら、そのうちに自分が銃で撃たれる、殺されると思い、恐怖心を持ってしまいます。
大半の大人にとり、戦争のニュースは真実ではあっても、あまりリアリティはありません。理由の一つに、現地との距離感があるからでしょう。本当ではありながら、どこかフィクションのように感じます。自宅の近くではない、だから砲弾も弾も飛んでこない、安全な所にいると思い安心します。
ところが、想像力が豊かなのかもしれませんが、隣近所で戦争が起こっているように思う子がいます。阪神大震災の報道に心因反応を示し、うつ状態になった人と同じです。押し黙ったり、活気をなくしたり、ときには攻撃的になったりすることもあります。
カナダでの話しですが、9・11事件のときに、子どもにテレビのニュースを見せないこと、また特定の人種や宗教を非難しないようにと小学校から各家庭に通知があったそうです。
子どもは、悲惨なニュース映像によって心理的な外傷を受ける可能性があると報告されています。この点において日本人は鈍感で、子どもは悲惨なニュース映像にさらされ続けています。大人は、見せるべき映像について一定の制限をすべきと感じます。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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