最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2004年4月
第20回目 AD/HDの子と学級崩壊について
前回は、子どもたちに同調圧力が働き、集団が形づくられると述べました。子ども集団の発生は、親から仲間に依存の対象が移っていくことが背景にあるとされています。このことは、子どもにとっては親からの自立の過程であり、当たり前の道筋といえます。
この時期は、自分たちと違う子のことがとても気になるようです。子どもたちははずれた子を排斥するのではなく、まずは「教育」し仲間に引き入れようとします。この時期が、男の子たちの間では三年生くらいまで続きます。ちなみに、子ども集団の形成に欠かせない同調圧力は、熱狂的な流行も生みだします。ミニ四駆、スーパーヨーヨー、ポケモンなど、三年生を中心にして流行が広がりました。
非難せず、協力を求めること
前回にもふれましたが、集団からの圧力に反発したり恐がるようになる子がいます。これに対して、まわりの大人が「いじめだ」とおお騒ぎをすると、逆効果になってしまうことがあり要注意です。というのも、同調圧力に動かされている子どもたちは、あくまで善意の気持だからです。仲間になれるようにと思っての言動です。だから乱暴ないい方ややり方をしても平気です。大人がこのことを責めても、子どもにとっては成長過程での自然な欲求に従ってのことです。叱っても説教しても、なかなか反省しないようです。陰に隠れて同じようなことを繰り返したりします。
一方的に子どもを責めるのではなく、協力を求めた方がよいでしょう。たとえば、多動の子がちょっかいを出すのは悪意ではなく遊びたいと思っていること、泣いたり騒いだりするのは年齢が小さい子に似ていることなどです。あわせて、多動の子のいいところについても目を向けさせたいものです。その上で、乱暴などではなく、うまく教えてほしいと協力を求めます。この年齢にもなると、思いやりの気持も強まってきます。子どもたちにとっては、受け入れやすいと思います。
多動な子と学級崩壊
なお、多動の子が学級崩壊を引き起こしている、とよくいわれます。学級崩壊のひとつの原因は、子どもたちの間に集団ができず、一人の先生がバラバラの四十人を相手にして格闘せざるを得なくなるからです。子ども四十人を、一度に相手するのではお手上げ状態になっても仕方がありません。
崩壊状態の教室のなかでは、たしかに多動の子は目立ちます。だから問題視されるのでしょうが、子ども集団から排斥されがちな存在です。大半の多動の子は、みんなをリードする力は思うほどありません。
ちなみに学級崩壊では、それ以前にクラス全体が落ち着かなくなり、先生の指示に反抗するなど子どもたちにマイナス方向の同調圧力が働きだします。このためにおとなしい子たちもいうことをきかなくなり、ダムが決壊するように一気に教育が成立しなくなるように思います。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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