最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2004年2月
第19回目 問題になる「ちょっかい行動」
これから数回にわたり、多動の子の学校生活について述べます。特に小学校など、学校で起こりやすい問題について考えていきます。
小学校では、先生がひとりで四十人近くの生徒を教えています。この比率の良し悪しは別にしても、幼児期にはもっと大人の手がかかります。それが小学校に入るとどうして手が要らなくなるかといえば、子どもたちの間に、自律性をもった集団が生まれるからです。子どもは、集団をともにする仲間の行動に従おうとします。この従わせる力を「同調圧力」ともいいます。
先生は一人で、バラバラの四十人の子どもを相手にしているのではありません。一つの子ども集団に対応しているといえます。実際に、先生の呼びかけをしっかりと聞いているのは、クラスでも数人ではないでしょうか。その数人の子どもたちが「小さい先生」役でリードし、クラス全体はその子たちにあわせて動きます。
同調できない!
AD/HDの子は、就学早々から多動性が問題視されます。椅子に座れない、教室から出てしまう、先生や他の子の指示を聞けず勝手にふるまうなどです。ほかの子と同じ行動が取れません。これは、同調圧力に気づけないことがひとつの原因となっていると思います。
ほかの子たちは、集団での競い合いなどをとおし、お互いのことを意識しだします。応援したり、慰めを受けたりしながら互いの結びつきを強めます。このような結びつきが、同調圧力を生む源泉となるのでしょう。
ところが多動の子は、競争では勝ちにこだわりやすく、また、ほかの子たちとの気持の交流が弱かったりします。多動の子は、マイペースとよくいわれます。同調できにくいのは、強すぎる競争心などが影響しているのかもしれません。
ある程度同調できるようにするには、日常的にほかの子の動きや気持に、センサーを張るように教えていく必要があるようです。
ちょっかいが盛んになる時期
一年生の二学期あたりから二年生にかけて、ほかの子への関心が高まってくる多動の子がいます。その関心が、授業中や遊びの場面などで、ちょっかいという形で出てしまいます。それがとてもしつこかったりします。ほかの子はそのしつこさをうるさがり、ときには集団で反撃することもあります。
この時期、多動の子で学校に行きたがらなくなる子がいます。その原因のほとんどは、仲間に入れないことです。またほかの子たちからいつも注意されることがイヤだったり、ときには恐いからのようです。
この時期、子どもの葛藤がわかり親としても非常に辛いと思います。ただ四年生前後になると、子ども集団の同調圧力は弱まります。多動の子のちょっかい行動も弱まります。これらのために、いざこざがグーンと減ります。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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