最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2003年4月
第14回目 感情のコントロール力をつける
前回、多動な子どもたちには、反抗期特有の行動が見られることを紹介しました。
この時期の多動の子に見られる特徴が、大騒ぎで自己主張をすることです。泣いたり騒いだりの度合いがひどく、またしつこかったりします。人となかなか折り合えず、同じことで騒ぎが繰り返されたりします。ただ要求が通ると、ケロリと静かになります。あまりに騒ぐこと、望みがかなえばすぐに静かになることから、大人は要求に応じることを学んでしまいがちです。 ただこれでは、子どもの騒ぎはおさまりません。
感情の分化
発達的にはこの時期、子どもは感情を分化させていきます。快—不快のレベルから、喜怒哀楽の感情世界を築きはじめます。この頃から「面白かったね」「悲しいの?」「楽しいね」ときくと、子どもは自分の気持ちをいえるようになります。子どもはきっと、大人の言葉を聞くことで、人の内面にさまざまな感情があることにも気づくのでしょう。あわせて、他者の感情にも目を向けだします。
コントロールすべき怒りの感情
さて喜怒哀楽の中で、コントロールすることを強く求められるのが「怒りの感情」です。多動の子がしばしば見せるのが、この「怒り」です。私達も、いつも怒っているような人とは付き合いたくありません。これは子どもも大人も同じです。怒りを自己制御できるかどうかは、適応状態に大きな影響を及ぼします。
これは笑い話にもなりませんが、感情表現がとても豊かな多動の子と聞き会ってみたら、怒ってばかりの子だったことがありました。適応が良くないのはいうまでもありません。
「感情」でなく「意見」を
人間の会話には、 1. 感情の交流と 2. 情報の伝達の二つがあるとされています。「楽しかったよ、遊園地に行って」という場合、「楽しかった」が感情の交流部となります。「遊園地に行った」は、情報の交換となります。プライベートな会話では、感情の交流が主となり、特に女性はその傾向が強いともされます。
多動な子では、会話の中で感情の交流があまり見られません。相手の気持ちを尋ねたり、励ましたりがありません。ほめたり、慰めたりということばもなかなか聞かれません。ただ、こういうことばや、その使い方を知らないともいえます。そういう会話を積極的に行い、そういった話ができるよう教える必要があるともいえます。
なお、泣き叫ぶ子を相手の時には、大人が感情レベルで反応すれば、当然ですが混乱に拍車がかかります。こういう子には、冷静に「泣いてはダメ」といいます。情報の伝達を心がけるべきです。
たとえ子どもでも、感情もあらわではなく、人に容認される表現で自分の意見は示させるべきです。大人は「怒ってはダメ」と注意しながら、あわせて感情的にではなしに意見をいうことを求めましょう。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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