最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2001年8月
第1回目 乱暴の背景にあるもの
最近、 AD/HD ということばを聞いたことがありませんか。この AD/HD は、注意欠陥・多動性障害のことを表しています。
ケンタくんは小学校 2 年生。ある日、彼の通う小学校の校長先生から電話がありました。彼の乱暴があまりにもひどいので、一度学校に見に来て欲しいという内容でした。
ケンタくんは、私たちのところに、保育園の年長さんのときに何度か来ていました。園で落ち着きがなく部屋から飛び出す、ときに乱暴するというので相談に来られました。このときに初めて、 AD/HD であることがご両親に告げられました。
ショックではあったでしょうが、多動性は小学校2〜3年でおおむね落ち着くとの話に、ほっともされたようです。園の先生も理解して下さり、対応が変わったことで彼の状態も少しずつ落ち着いていきました。
学校に行ってみると、クラスの子が彼に、いろいろと指示したり、手を引いたりしています。彼は、これらのことに対して、何度かやり過ごしていましたが、ついに耐えられなくなったのか、大声を上げてキックしだしました。また乱暴をしだしたということで、お母さんはがっくりしていました。
強い同調圧力
ただ、今回の乱暴は原因が違うようです。年長さんの頃は、自分が欲しいもの、やりたいことに一直線でした。これらを邪魔する子どもには、すぐに手や足が出ていました。しかし今回は、他の子からの関わりをうるさがっての「反撃」でした。
小学校 1 年生になって少し経つと、子ども達の間には集団ができ始めます。この集団ができるから、一人の先生でもたとえば四十人の子ども達を指導できます。一人対四十人ではなく、実は一人対一子ども集団だからです。
このときに、集団を形成させるのが「同調圧力」です。この力は強く、一人でも多くの仲間をつくろうとします。ケンタくんも、誘われたものの、少し社会性が幼い彼は、何を求められているのかわからなかったのでしょう。ですから反撃しました。年長さんの頃とは、乱暴の原因が違っています。彼なりに、自己コントロールがついて来ているのは確かです。
同調圧力の働き方で「学級崩壊」に
この同調圧力ですが、負の方向にむかうと一挙に学級は崩壊します。ただこれも、集団ができているからともいえ、急に安定化に向かうことも稀ではありません。
さてこれから、いま子ども達に何が起こっているのか、またそれらは、発達的にみるとどう分析できるか、述べていきたいと思っています。よろしくお付き合いください。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
HOME
会社案内
子育て
コラム
お店情報
地域情報
http://www.hattatsu.or.jp/
前のページへ