子育て相談室-青年期 2003年9月
家出・反抗
中2の娘ですが、帰宅が遅く、昨年あたりから親に反発するようになり、夜中にこっそり家を出るときもあります。注意すると部屋に閉じこもり話し合いになりません。どのように接すればいいのかわからず悩んでいます。
クリニックに来院する子たちと話していると、中学生というのは大変な時期だと思わされます。というのも、同級生などからの自分に対する評価にとても過敏になるからです。
それまでは、「バカみたい」「ヘンなの」などと仲間からいわれても忘れることができたのに、それができなくなります。自分が本当にそうなのかどうかが気になりだし、繰り返し考えるようになります。他の子たちからの評価が怖くなり、不登校になる子がいます。人との関係が苦痛でそれを避けます。他の子から、ちょっと触られただけで怒り出す子もいます。何事にも被害的になり、相手のことをあしざまにののしる子もいます。他の子からの働きかけを、「悪意」に取ってしまいます。
こういう子に、大人が「君はヘンなんかではないよ」と話しても、真意は伝わらないように感じます。大人ではなしに、仲間からの評価こそが大きな意味を持つからでしょう。
忘れられないから、のめりこむ?
話は変わりますが、中学生の年代になると、アイドルや音楽、映画などにのめりこむ姿が見られだします。アイドルなどに対する仲間間の評価が大きな意味を持ち、それに同調する心理が働くからと思われます。さらにいえば、考える力が成長してきて、評価への不安などが頭を支配するようになります。その頭を切り替えるには、自分を強く引きつける対象が必要となるのでしょう。
評価への不安が、悪いとわかっていても同調させる
このような時期は、親から何を言われようと仲間の評価の方が大切です。だから、親の言うことに耳を傾けようとしません。とはいえ、子どもは悪いことは悪いと認識しているようです。しかし、仲間からの評価が怖いから、悪いとわかっていても同調してしまいます。
ただ仲間とはいってもさまざまです。悪いことは悪いこととして認識し、そういうことをしない仲間もいます。もしも今の仲間から抜けられなければ、夜に親に内緒で遊ばないというルールを、娘さんの仲間に提案してみたらどうでしょうか。
仲間の評価は、自分を知ることにつながる
青年期の心理的課題に、「自己開示」があげられます。17、8歳から見られだす自己開示とは、自分の長・短所などを人にいえるようになることです。特に短所をいえるようになることは、まわりの自分への理解を高め、結果的に社会的な適応を良くします。中学生の評価過敏は、自分を知る旅の一里塚ともいえます。現在の姿だけではなく、長い目でお子さんを見ていくことも大切といえます。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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