子育て相談室-児童期 2005年4月
マイペース
7歳の長男ですが時間の観念がまったく身についていません。何時まで食事をして、何時までに身支度を終え学校に行くという決め事に従うことができないのです。幼稚園のころから口をすっぱくして言ってきたつもりですが、いまだに、言われてようやく行動に移す状態です。自主性を尊重してみようと黙っていたときもありましたが、そうすると本当に学校に遅れてしまうのです。子が自ら進んで行動するためには何が必要なのでしょうか。
「遅刻しても平気」という子の相談は、決して少なくありません。遅刻しながらでも、何とか学校には行き続ける子がいます。そのうちに遅刻しなくなることがあります。しかしいつの間にか学校に行かなくなる子がいます。いわゆる不登校で、小学校低学年からそうなると長い間続くこともあり、注意が必要です。
時間の観念と不注意やマイペースな子
ADHD(注意欠陥・多動性障害)のなかで「不注意タイプ」とされる子がいます。このタイプの子は、注意が適切に働かなかったり、一定の時間続かなかったりします。結果的に時間どおりに物事を終えることができません。よく動くけれども不注意が目立つ、あるいは「ぼんやりしている」印象を受ける子に多いようです。
なかには、とてもマイペースという子がいます。まわりのペースや時間に合わせることを大切と思っていません。よく観ていると、自分なりのやり方がある子がいます。時間のかかる不合理な方法でもそれを守ります。このために必要以上に時間がかかってしまいます。マイペースな子、自分流を守る子など、時間に無とん着な子にはそれぞれあるようです。ただ共通するのは、まわりの人の気持ちや考え方が伝わりにくい、鈍感というところがあるようです。
まわりから学ぼうとする「ミラー細胞」
では逆に、人は「どうしてまわりの人と同じように考え、行動する」のでしょうか。最近の脳の研究では、脳には「ミラー細胞」という神経網があるとされます。バレーボールの試合をテレビで観ているとき、アタックの場面では自分の脳の運動野が働くそうです。だからテレビを観ただけなのに不思議と疲労感が残ったりするのでしょう。マイペースな子はまねをする細胞の働きが弱いのかもしれません。
時間は人と一緒に何かをやる際の目安でもある
発達的にみると、違った見方もあります。子どもが大人と一緒に、何かをやりたがる時期があります。一緒にやりながら、人からの学び方を獲得しているともいわれます。時間とは、人と人が「一緒に」何かをやるときの目安としても使われます。時間に鈍感の原因ですが、人と一緒にやりたいという意欲が育っていないことも一因と考えられます。ときには指示や命令、静観だけではなしに、子どもと一緒に時間をかけて何かを作ったりしてみてはどうでしょうか。一緒にやることの楽しさとともに、時間の役割、その大切さを教えていけないかと思います。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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