子育て相談室-児童期 2004年5月
社会性って何?
2月号の子育て相談室で「勉強への意欲が湧くまでは<社会性>が重要」とありました。<社会性>とはどういうことなのでしょうか。また「社会性」を育てるにはどうしたらよいのでしょうか。
子どもの社会性を育てるのが大切、とよくいわれます。ところが実は、この「社会性」には確立された定義がありません。研究者によって考えがまちまちだからです。ですから誰かから「社会性」が大切といわれたとしても、具体的な中身については、考えていることが違う可能性があります。ある先生から、「社会性が大切です、指導してください」と言われたときには、具体的な内容や目標について、一度確認した方がよいかもしれません。
社会性には明確な定義はありませんが、子どもの「発達」には二つの目的があると考えられています。一つが自己形成であり、もう一つが社会化です。
<自己形成>は難しい言葉ですが、「年齢相応に物事を理解し、自分で考え判断し行動できる力」といえます。
<社会化>は、自分の判断や行動を、まわりに受け入れられるような形で表現できる力といえます。
たとえば、三歳の子どもがスーパーでダダをこねているとします。その姿を見て、大多数の大人は「まあこれ位だったら仕方がないな。ダダもそのうちに卒業するだろう」と思います。ところが、小学校三年生の子が同じ姿を見せたとすると、大多数の大人は「しつけが甘い」と感じることでしょう。
ここで判断が逆転するのは、行動ではなく、おわかりと思いますが、子どもの年齢が影響するからです。大人は、子どもの<自己形成>や<社会化>について三歳ならばこれ位、小三の表現内容はこの程度、といった物差しを知らず知らずのうちに学んでいます。その物差しが働き、「わがまま」「幼い」とか「えらい」「大人になった」といった評価をします。
<社会性>には、さまざまな見方・考え方がありますが、<自己形成>や<社会化>のレベルについては多くの人たちに共通の物差しがあるともいえます。
子どもには、年齢に応じた<自己形成>と<社会化>の段階・内容があります。たとえば四歳児以降の活動では、仲間集団が形成され、多数で競争することが好きになります。
<勝ちー負け>で判断することが盛んになり、この判断基準をもとに自己形成を進めていきます。 このときに、勝つことだけでなく、負けた相手を慰めたり、他の子を応援したりする姿も見られだします。これらを学ぶことでみんなで勝負を楽しめるようになります。これが社会化といえます。
☆子どもの自己形成と社会化に興味のある方は、湯汲編著「わがままといわれる子どもたち」すずき出版1600円をご参照ください。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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