子育て相談室-児童期 2002年11月
子供とテレビゲームの関係
小学3年の男子です。友達と遊ぶといってもテレビゲームばかり。いっしょに遊んでいると思えません。問題は無いのかと心配になります。子供とテレビゲームの関係について教えていただけないでしょうか。
テレビゲームに熱中すると、脳内に快感物質といわれるドーパミンが放出され、高揚感を経験するといいます。問題は、ドーパミンが一度に出たあとには、それが在庫不足となり、勉強や家事などをやろうという意欲が湧かなくなることです。
弱まる自己コントロール力
中野区が、小中学生を対象に行なった調査では「テレビゲームをやる時間が長い子ほど、自分の怒りをコントロールする力が低く、攻撃的言動をとりやすい」と報告されています。競い合いは四〜五歳から見られますが、子どもは道徳を知るなかで、「強いよりも正しい方がよい」という判断基準を獲得します。テレビゲームは子どもを、「競い合い」の段階に留めてしまう可能性があります。
本当は頭を使ってない「ゲーム脳」
テレビゲームで遊んでいる間は、人間にとって最も大切な脳の機能を使っていないことが、脳波や脳の画像研究でわかってきました。最も大切な機能とは、額のすぐ裏にある「前頭前野」での感情や行動の統制などです。テレビゲームでは、頭を使っているように思います。しかし「目から入る刺激に対し、前頭前野を使うプロセスを踏まないまま、反射的に手を動かしている」だけとの研究結果が報告されています。ゲーム脳になると、切れやすくなるともされます。また、物忘れが激しくなり、約束を忘れたりして、日常生活に支障を来たすこともあるといいます。
現実とのズレ
脳の代謝研究などで有名な瀬川氏は、「ゲームで植え付けられたものを、現実にやろうとする衝動に歯止めがかからなく可能性がある」と警告しています。このことは、ゲームの世界と現実の世界の境目が、薄くなったり、あるいはなくなることを予想させます。
テレビゲームにどう対応すべきか
まったくさせてはいけないから、三十分程度までならと、さまざまな意見があります。ただ共通しているのは、何らかの時間制限の必要性です。
正高信夫氏は、「自然環境に住む子はテレビゲームに興味を示さない」といいます。その自然を伝え、教えるのは、父親の役目と続きます。そして、子どもがゲームに惹かれるのは、父親との交流が乏しいからとの考えを示しています。父親ばかりでなく、ほかの子どもや仲間との交流が少ないことを問題視するのも、識者に共通したものです。社会性の発達への悪影響が確かにありえます。
(参考)正高信夫著 「父親力」中公新書、2002
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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