子育て相談室-乳幼児期2005年12月
三歳児健診
3歳児健診の待合室で乱暴や母親の言うことを聞かないなどの言動がありました。この様子を見た保健士さんは「『言葉の教室』みたいなものに通って心を育てることが必要では」というのですがどうも納得できません。「お宅のお子さんは少し問題児」だと言われているように感じました。
私は成長の過程で人間社会のルールを覚えていけばきっとそのうち良くなると思っています。ちょっかいや暴力は、言語化されていないことの現れなのではないでしょうか?
ちなみに6つ歳上の兄がいます。2年前、ある子からいじめを受けました。その腹いせでしょうか、3歳の息子に八つ当たりした時機もありました。このことも3歳の息子の今の言動に関係があるのでしょうか?
発達には道筋があり、それに従って子どもは成長していきます。
たとえば「ちょっかいや乱暴する姿」は言葉の力が伸びてくれば減ります。行動ではなく、言葉で伝えた方が合理的だし、人とのトラブルも減るからでしょう。これはお母さんのご指摘のとおりです。
ただ一方で、子どもが三歳までに理解し、使えるようになる言葉の目安があります。ここで、言葉の役割について述べてみます。
言葉には、大きくいえば三つの働きがあるとされます。一つは、人とコミュニケーションをとるという働きです。言葉は自分で考え、判断していくときに必要です。二つ目には思考の道具という働きがあげられます。三つ目は、わかりにくいかもしれませんが、自分で自分の身体に、たとえば「歩く」「おしっこする」などの指示を出すという働きです。
落ち着かない子は、なかなか待つことができません。これについては、取り組みの内容に興味関心が持てないなど、さまざまな理由が考えられます。ただなかには、「待つ」「じっとする」という言葉を学んでいないために、待てない子がいるとも考えられています。
一定の年齢になっても、ボキャブラリー数が少なかったり、文章が作れない子がいます。こういう状態だと、年齢相応の社会性や考える力、あるいは行動のコントロール力が身につかない可能性があります。こういうことが考えられるので、言葉の指導を受けた方がよいという助言になったのではないかと思います。
なお、ある研究によると、三歳児健診でチェックされたお子さんのうち7割以上の子が、就学時には「問題なし」となったそうです。子どもの発達は、実に個性的だという証明でしょう。
お兄ちゃんの八つ当たりの影響ですが、普通の兄弟喧嘩レベルでしょうから、さほど影響はないと思います。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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