子育て相談室-乳幼児期 2002年1月
乱 暴
3歳の息子を持つ母です。口よりも手が先に出てしまいお友達を泣かせてしまいます。公園で1つ2つ位年上のお兄さんたちが遊んでいますと一緒に遊びたくてその中に入って行きますが、結局お兄さんたちの邪魔になってしまいます。「あっちいって」とお兄さんたちに拒まれると逆に叩いて泣かせてしまいます。お友達がおもちゃで遊んでいてそれを自分もほしければ取り上げようとし相手が嫌がると叩いて泣かせてしまいます。自分より小さい子に対しても構わず叩きます。心配で目が離せません。同年代の子と比べると体格も良く力もあります。その度に注意をしますが全く効き目なし。ますますエスカレートしてきているようです。どのように対応していったらよいのでしょうか。
自分の気持ちや考えを、ことばにすることを「言語化する」といいます。ところが、子どもはことばの力が不十分です。それで、ことばにできずに行動で表してしまいがちです。これを「行動化」といいます。子どもの発達とは、ある面からいえば、すぐに「行動化」する段階から、「言語化」へと成長していくプロセスともいえます。
子どもが、他の子に手を出したり、髪の毛を引っ張ったりするようになるのは一歳のはじめ頃からです。このような姿が見られるのは、遊んでいるおもちゃにさわられたり、お母さんが他の子を抱いたりしたときです。子どもは他の子に、おもちゃやお母さんを取られると思い、攻撃的になります。
他の子に手を出すと、出された子が泣いたりして大騒ぎになったりします。騒ぎが大きくなれば、大人から叱られたりもします。そのような経験を積みながら子どもは、「人に対して、やっていいこと・悪いことがあること」を学んでいくともいえます。
子どもが、他の子のなかに入って遊ぶには「ことばのパスポート」が必要といわれています。「入れて」「かして」「ごめんなさい」といったことばです。子ども達は三歳前後から、「行動化」ばかりでは、他の子と楽しく遊べないことを学び始めます。そして、ことばでコミュニケーションをとることの大切さを理解しだします。その方が、とても楽しく遊べることもわかってきます。ただ、この年齢ではいつもそうではありません。ときには手や足が出ます。しかし確実に、言語化した方がよいことを、年をおうごとに学んでいきます。
なお乱暴は、止めるようにきちんと注意しなくてはいけません。ただ息子さんの場合は、パスポートのことばを使えない可能性があります。そうであれば、まず必要なことばを学び、使えるようにしたいものです。あわせて、自分の気持ちや考えをなるだけことばにするよう、場面をとらえながら教えていくことも大切です。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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