子育て相談室-乳幼児期 2007年12月
男だから、女だから
2人の女児の母です。育児書のなかには「男だから」「女だから」と諭す育て方は良くないと書いているものがあります。「女の子だから・・・しなさい(してはよくない)」というしつけはよくないのでしょうか。わたし自身はなにかにつけて、「女の子だから」と親から言われて育ちました。善悪に男女差はないとは思いますが、そのときの声のかけ方として、男女を意識させることばは良くないのでしょうか。
「男だから」「女だから」という考え方が強かったのは、男と女の役割がはっきりと違っていた時代でしょう。たとえば戦国時代。戦闘は男性が担い、女性は銃後を守る役割でした。
筆者は半世紀前に炭鉱町で生まれ、育ちました。炭鉱も男女の役割が明確に分かれた社会でした。坑内で石炭を掘るのは男でした。今でも、犯人が立てこもる現場に突入するのは男性警官です。火炎が舞う火事場で、放水作業にあたるのは、これも男性消防士です。
危険に立ち向かい、生活の確立や平和の回復が、男の役割として期待されています。
あるお母さんは、発達障害を持つわが子が電車で騒ぎ、他の乗客から怒鳴られたときに、他の車両に逃げた父親は一生許さないと話します。家族を守るという、期待を果たさなかった父親への幻滅は母親の一生の傷となっています。
一方で、学校などで重要な話し合いがあるときには何をおいても参加し、意見を言う父親に全幅の信頼を置く家族がいます。筆者には、父親の考えは少々偏っているとも思えますが、家族は父親に頼もしさと誇りを持っているようです。
性の違いよりも、まずは人間としての責務、役割がある
「男だから」「女だから」というよりも、まずは人間として果たす役割があるように思います。その上で、いざとなった時に、男性には家族を暴力などから守ることが期待されます。女性には、子どもを暴力の場から遠ざけ、守り抜く役割があるのでしょう。担う役割を分担したからこそ、人類は生き続けられてきたとも思います。
ただし性の違いを理解しておくことが大切
現代の社会は、「男だから」「女だから」の性役割ではなく、おおむね人の働きをもとに成立しています。
日本は第三次産業の就業人口が増え続けています。サービス産業の適性は、「人の気持ちに配慮できること」です。ある大学教授は、気配りのできる女性が社会で働く方がいいとの説を唱えています。男性は家事と育児の担当です。
面白い考え方ですが、子ども時代には性差があるのがわかっています。たとえば触覚ですが、一歳の子では多くの女児はふわふわ、つるつるを好み、一方で男児は固く冷たいものが好きだそうです。
ふわふわ、つるつるはお人形さんで、将来の育児行動のためとされます。硬く冷たいのはミニカーなどですが、これは大人になってからの物づくりのためと思われます。この他にもありますが、「女の子だから〜しなさい」は不必要でも、育児の際には性の特徴を理解して関わる方がいいでしょう。
湯汲英史(ゆくみ えいし)先生
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒 社会福祉法人 発達協会 常務理事/心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授
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