e-ha 通信 2008年8月
第15回 柔らか歯ブラシを
「歯ブラシは柔らかめの物で、動かし方は細かく小刻みに・・・」。当医院での歯ブラシ指導での一部です。
「歯磨き」は洗顔や入浴などと同様に生活の一部のことです。そのためか、そのことについての「指導」となると耳を傾けてくれる方のほうが珍しいといえます。興味を持っていただいた方でも、単なるインフォメーションとしか捉えていただけず、確実に実行してくれる方はほとんどいません。
私が勤務医であった頃の経験ですが、その歯科医院の方針は「どんな方でも歯ブラシ指導から始める」というものでした。
1人ひとり口の中の状態にあわせて歯磨き方法を指導します。赤染めをして、汚れ率が20%以下にならないと、治療等を開始しないという方法をとっていたのです。
歯磨きをして汚れの取り残しが20%以下になると、歯周炎に対しての治療効果が良くなります。歯牙に対する治療も効果があがります。
したがって、この歯科医院の治療方法は非常に良く、私もまったく疑うことなく賛同しておりました。
ところが色々な方の歯ブラシ指導を行っていくと不思議なことに遭遇しました。
磨きのこし率が下がってくるものの、一向に歯茎の状態が改善しないのです。来院前に自宅で赤染めをして歯ブラシをして、限りなく汚れ率を0%に近づけ、万全の体制を整えてから来院される方もいました。
不思議に思ってたずねると、必ずといってよいほど「硬い歯ブラシで強く磨いた方が汚れは取れると思っていました」という言葉が返ってきました。
私は、洗車や皿洗いを例に出して説明しました。タワシで車を洗うとどうなるか。汚れたお皿をタワシで力強く洗ってきれいになるか。
いずれの場合でも、柔らかいブラシやスポンジで丁寧に汚れを落としますよね。
歯の模型を使って、柔らかい歯ブラシと硬い歯ブラシで力強く動かした場合と小刻みに動かした場合のものをビデオカメラで撮影し、スローモーションで再生確認したところ、歯ブラシの毛先の入り方がまるで違っていました。
「歯磨き粉を使っているから歯ブラシは長い時間やっていないよ」と言う人もいました。でも、汚れた皿に洗剤を垂らして、水で流しただけでは綺麗になりませんよね。毛先が歯や歯茎の汚れている部分にあたって初めて汚れが落ちるのです。
歯磨きは毎日行っていることなので、ご自身ではできて当然のことと思われがちです。しかし本当にきちんとできているのなら、これだけ良い歯ブラシや歯磨き粉が市場に出回っているのですから、歯周炎や虫歯で悩む方は限りなく少なくなっているはずです。
歯科医院に行って歯ブラシ指導を受けたら、まずはその指導に従い、確実に実行をしてみてください。
三上卓也(みかみたくや)先生
昭和42年神奈川県生まれ 神奈川歯科大学卒業 平成6年 神奈川歯科大学付属総合診療科勤務 平成8年 仁歯会 松井歯科医院勤務 平成11年 神奈川県三浦市にて開業 横須賀市歯科医師会/三浦臨海高校学校医/日本歯内療法学会所属 趣味はスクーバダイビング・写真(陸上/水中)・クラッシック音楽鑑賞・フルート演奏・旅行など多彩。三崎合唱会ではテノールを担当。
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