e-ha 通信 2007年11月
第12回 通院と習い事と
日々来院される様々な人の歯の悩みに対応して感じること。他人の話を聞かない人や他力本願の人は治らない、治してもすぐに悪化する傾向にあるということ・・・。
歯科医院に通い治療が進むと「しっかり歯を磨きましょう」と言われませんか。言い方にかなり気を使っておりますが、わたしもこのような言葉を口にしてしまう歯科医のひとりです。
いつも口の中に汚れを付けてくる人に歯磨きのことを言うと、「磨いているんですけどねえ〜」と必ず返ってきます。アドバイスを全く受け付けない様子なのです。
すぐさま、「1日どのくらい磨いていますか?」と質問すると、「朝だけ」とか「夜1回」とか。
これでは虫歯にもなりますし歯周炎も改善しません。決して歯磨き指導を怠っているのではありません。何度となく時間を割いて歯ブラシ指導を行っている患者さんがこのようなことを言うのです。
身近にピアノを教えている人がいます。その人はある生徒の父兄から「週に一度のレッスンでは上達しませんよね」と言われたそうです。話を聞くと、なんとその生徒は家では全く練習をしていなかったのです。
レッスンに行くだけでピアノが上達するとその父兄も思っていたのです。ですから、上達するには週一度ではなく、回数を増やせば良いと思っていたというのです。
何かを身に付けるためには予習・復習が大事です。それがあるからこそ自分の間違えや不得手なところがわかります。助言してもらうことによって得ることがあると思います。ただ行くだけでは意味がないですよね。
医者は病を治すのではなく、病が治る方向に導いているだけなのです。身体に治る力がなければ、何をやっても無理なのです。
治る力を身に付けるには、その人自身の食生活や生活習慣の改善が必要です。医術を施すことや、薬を飲むということは病を治りやすくしているにすぎません。完全に治すのは身体の回復力なのです。
口腔内の異常は、最近でこそ全身疾患の原因の可能性もあることが指摘されてくるようになりましたが、まだ世間一般では命には関係ないと見られております。
そのため虫歯や歯周炎は軽視されています。治療に対して真剣に取り組む姿勢が見えないことが多々あります。歯や歯茎が悪くても直接命には関係しない様に思えてしまいます。それ故に、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスに耳を傾けず、受け流してしまうようです。
ただ通えば何とかしてもらえると思ってしまうのでしょうか。それはまるで、進学や昇進に関係ないと思われてしまいがちな“習い事”に通じるものがあります。
自分の命に関わることなら、食生活に気を付けたり、入院や手術も受けますよね。自分の努力があるからこそ健康が手に入るのであり、特に歯科治療の成功は患者さん自身の“歯ブラシ”という協力が必要不可欠です。
三上卓也(みかみたくや)先生
昭和42年神奈川県生まれ 神奈川歯科大学卒業 平成6年 神奈川歯科大学付属総合診療科勤務 平成8年 仁歯会 松井歯科医院勤務 平成11年 神奈川県三浦市にて開業 横須賀市歯科医師会/三浦臨海高校学校医/日本歯内療法学会所属 趣味はスクーバダイビング・写真(陸上/水中)・クラッシック音楽鑑賞・フルート演奏・旅行など多彩。三崎合唱会ではテノールを担当。
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