e-ha 通信

秋田さきがけ大畑専売所

社会への関心は成長のあかし 新聞は社会への窓口です

e-ha 通信 2006年11月

第8回 削られた!抜かれた!


「この前急に歯が痛くなって歯医者に行ったんだけど、右の奥から二番目の歯が虫歯だとか言われて削られちゃってさ、そのあと虫歯が深いからとか言って神経とられちゃったんだよね・・・・・」

先日電車に乗っていて偶然耳にした会話です。このような言い回しは、初診で来院された患者さんのなかにも、以前通っていた歯科医院の悪口として私たちに訴える方もおります。

「この歯、悪くて仕方なく削ったのですよね・・・・」。そのような患者さんにはこのように答えるようにしています。

治療上削ったり、抜いたりしたことは、「削って治してもらった」ことなのに「歯医者に行ったら削られた!」と言われるのは、何か間違っているように思うのです。

虫歯の治療は、ごく初期の場合、フッ素を塗布するなどして歯の表面の再石灰化を促し治していきます。

虫歯が広範囲、または深度が増すにつれて再石灰化は不可能となり、悪い部分を除去して削った部分の形に応じてその場で詰めたり、型を採って次に来院された時に接着剤でつけたりします。

虫歯が本当に大きく痛みがあり、神経まで達している場合、神経は取らざるを得なくなります。ましてや歯が崩壊するほどの虫歯を放置し、あごが腫れるなどした場合、その歯を抜くのは当然です。

できることなら入れ歯は避けたいと考えています。歯は、なるべく削ったり抜いたりすべきではないのです。治療する側も削ることを楽しんで行っているわけではなく、なるべくそれを避けるように努力しております。

どうしても削ったり抜いたりした場合、それを元通りにしなければなりません。元通りにしたところで、まったく治療していない状態にもどすことは不可能で、いわゆる「つじつま」があったところで妥協点を見出します。

歯科治療に限らず、医療は患部の程度が悪くなればそれだけ治療は高度になりリスクも増えます。

悪化した奥歯の治療となると、口は開かない、器具は入らない。時には患部がよく見えないため手の感覚に頼ることもあります。時間がかかり、ちょっとしたことで術後の痛みが出てしまいます。

患部の程度が悪いために時間がかかっているのに、または体質の関係で麻酔が効きづらいなどということがあるのに、すべて治療が下手であると思われてしまうことが少なからずあります。最悪の場合医院の評判を落としかねません。

虫歯や歯周炎は自己管理により防ぐことができます。それを忘れて被害者意識だけで考えるのはどうかと思いますし、治療した側は悲しくなります。私ども歯科医は、治療目的についてわかりやすく説明することに精進していきたいと考えています。

「削られた、抜かれた」を別の表現に変えることでお互い不愉快な思いはしなくてすむと思うのです。

三上卓也先生 三上卓也(みかみたくや)先生

昭和42年神奈川県生まれ 神奈川歯科大学卒業 平成6年 神奈川歯科大学付属総合診療科勤務 平成8年 仁歯会 松井歯科医院勤務 平成11年 神奈川県三浦市にて開業 横須賀市歯科医師会/三浦臨海高校学校医/日本歯内療法学会所属 趣味はスクーバダイビング・写真(陸上/水中)・クラッシック音楽鑑賞・フルート演奏・旅行など多彩。三崎合唱会ではテノールを担当。

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